考え方
行列式を計算し、それが「変換で面積や体積が何倍になるか」を表すこと、0 なら逆行列がないことが分かるようになります。CG の変換、連立方程式の解の有無、多変数の変数変換(ヤコビアン)で使います。
- 行列式 detA
- 正方行列から決まる1つの数。2×2 なら ad−bc。∣A∣ とも書く。
- サラスの方法
- 3×3 の行列式を、斜めに並ぶ3つの成分の積の足し引きで計算する方法。
行列 (acbd) は、平面の点を動かす変換です。1辺 1 の正方形は、列ベクトル (a,c) と (b,d) を2辺とする平行四辺形に移ります。その面積が ∣ad−bc∣ で、これが行列式の絶対値の意味です。
符号は向きを表し、負なら図形が裏返ります。detA=0 なら平面が直線(または点)につぶれるので、元に戻す逆行列はありません。
すべての成分を k 倍した kA は、縦にも横にも k 倍するので、2×2 では面積が k2 倍、つまり det(kA)=k2detA です(n 次なら kn 倍)。行列式は、和や定数倍をそのまま外に出せる量ではありません。
3×3 の行列式は、立体の体積の拡大率です。サラスの方法では、右下がりの3本の積を足し、左下がりの3本の積を引きます。4×4 以上では、行基本変形や余因子展開を使います。
A=(2113) は、1辺 1 の正方形を (2,1) と (1,3) を2辺とする平行四辺形に移します。面積は detA=2⋅3−1⋅1=5 倍になります。ポイント
det(acbd)=ad−bc
サラスの方法: detadgbehcfi=aei+bfg+cdh−ceg−afh−bdi
det(kA)=kndetA(n 次の正方行列)、det(AB)=detAdetB
detA=0 のときに限り A−1 がある
解き方の手順
- 2×2 なら ad−bc を計算する(負の成分はかっこをつけてかける)。
- 3×3 ならサラスの方法: 右下がりの積の和 aei+bfg+cdh を計算する。
- 左下がりの積の和 ceg+afh+bdi を計算し、右下がりの和から引く。
- kA の行列式なら、detA に kn(2×2 なら k2)をかける。
例
A=2101320−11 の行列式を求めてください。
- 右下がり: 2⋅3⋅1+1⋅(−1)⋅0+0⋅1⋅2=6
- 左下がり: 0⋅3⋅0+2⋅(−1)⋅2+1⋅1⋅1=−3
- detA=6−(−3)=9
- この変換で、立体の体積は 9 倍になります。
よくある間違い
練習問題でこの間違い方をしたときは、その場でお伝えします。
- 行列式を線形だと思うdet(A + B) = det A + det B や det(kA) = k det A としてしまう。行列式は和に対して分けられません。n 次の行列では det(kA) = kⁿ det A です。
- サラスの方法で引く項を足している3次の行列式で、左下がりの3つの積を引かずに足してしまう(負の項の符号を忘れる)。サラスの方法では、右下がりの3つの積は足し、左下がりの3つの積は引きます。符号を確かめましょう。
画像を行列 A で変換すると、図形の面積は ∣detA∣ 倍になります。そのあと全体を縦横 3 倍に拡大すると、合わせた変換の行列は 3A です。
- 拡大の倍率
- 3倍
問いA=(3−4−43) のとき、det(3A) を求めてください。
途中の式
- detA=3⋅3−(−4)⋅(−4)=−7
- 3A=(9−12−129) なので det(3A)=9⋅9−(−12)⋅(−12)=−63
- 2次の正方行列では det(kA)=k2detA です(32×(−7)=−63)。縦にも横にも 3 倍されるので、面積の拡大率は 32 倍になります。
答えdet(3A)は -63
一緒にやる
小さく分けて、一緒に解く
1つずつ答えを確かめながら進みます。間違えても大丈夫です。
画像を行列 A で変換すると、図形の面積は ∣detA∣ 倍になります。そのあと全体を縦横 3 倍に拡大すると、合わせた変換の行列は 3A です。
A=(1305) のとき、det(3A) を求めてください。
小さな問いに分けて、1つずつ一緒に進めます。
ステップ 1 / 3
detA(ad−bc)は?
自分でやる
練習問題
数字は毎回変わります。2〜3問続けて解けたら、次の単元や元のレッスンに進みましょう。