考え方
平面の領域の上で関数を積分する重積分を、1変数の積分を2回くり返す(累次積分)ことで計算できるようになります。人口密度から地域の人口を出す、面積あたりの量から総量を出す、確率の計算などに使います。
- 重積分 ∬Df(x,y)dxdy
- 領域 D を細かく区切り、「各点の値 × 小さな面積」を足し合わせた量。f が密度なら総量になる。
- 累次積分
- まず一方の変数で積分し、その結果をもう一方の変数で積分する計算のしかた。
- ヤコビアン
- 変数変換で、小さな面積が何倍になるかを表す値。極座標では r。
長方形の土地の、場所ごとの人口密度 f(x,y)(人/km²)が分かっているとき、土地全体の人口は「密度 × 小さな面積」を全部足したものです。これが重積分です。f=1 なら、重積分は領域の面積そのものです。
計算は、まず y を固定して x 方向に足し(横の細い帯1本分)、次にその帯を y 方向に足します。内側で x で積分するとき、y は定数として扱います。定数 k を x で積分すると kx になる点に注意します。
長方形の領域なら、積分の順番を入れかえても同じ値になります。内側の積分の結果は y だけの式になり、それを外側で普通に積分します。
円や扇形の領域では、極座標 x=rcosθ, y=rsinθ に変換すると楽になります。このとき小さな面積は dxdy=rdrdθ と r 倍になります(中心から離れるほど、同じ角度の扇形は広いため)。
D:0≤x≤5, 0≤y≤2。まず y を固定して横の帯1本分を x で積分し、次に帯を下から上へ y で積分して足し合わせます。ポイント
長方形 D:a≤x≤b, c≤y≤d では ∬Dfdxdy=∫cd(∫abf(x,y)dx)dy
x で積分するとき y は定数: ∫0wydx=wy
極座標: dxdy=rdrdθ(ヤコビアン ∂(r,θ)∂(x,y)=r)
解き方の手順
- 領域 D の x と y の範囲を書き出す。
- 内側: y を定数とみなして、f(x,y) を x の範囲で積分する(結果は y の式)。
- 外側: その結果を y の範囲で積分する。
- 値の意味(人口・質量など)と単位を確かめる。
例
∬D(2x+3y)dxdy(D:0≤x≤5, 0≤y≤2)を求めてください。
- 内側(y は定数): ∫05(2x+3y)dx=[x2+3xy]05=25+15y
- 外側: ∫02(25+15y)dy=[25y+215y2]02=50+30=80
- 答え: 80
よくある間違い
練習問題でこの間違い方をしたときは、その場でお伝えします。
- 累次積分で他の変数を定数として扱わないx で積分するときに y を含む項を定数として扱えず、消してしまう・x を掛け忘れるなど。x で積分するとき、y は定数です。定数 k を x で積分すると kx になります。
ある店の商圏を、0≤x≤3, 0≤y≤1(km)の長方形 D とみなします。場所 (x,y) の人口密度が f(x,y)=4x+y(百人/km²)のとき、商圏の人口は重積分 ∬Df(x,y)dxdy(百人)で求められます。
問い∬D(4x+y)dxdy(D:0≤x≤3, 0≤y≤1)を求めてください。
途中の式
- 長方形の領域では、まず x で積分し(y は定数)、その結果を y で積分します(累次積分)。
- ∫03(4x+y)dx=[2x2+xy]03=3y+18
- ∫01(3y+18)dy=[23y2+18y]01=239
- 商圏の人口は 239 百人です。
答え重積分の値(百人)は 239
一緒にやる
小さく分けて、一緒に解く
1つずつ答えを確かめながら進みます。間違えても大丈夫です。
ある店の商圏を、0≤x≤1, 0≤y≤3(km)の長方形 D とみなします。場所 (x,y) の人口密度が f(x,y)=4x+y(百人/km²)のとき、商圏の人口は重積分 ∬Df(x,y)dxdy(百人)で求められます。
∬D(4x+y)dxdy(D:0≤x≤1, 0≤y≤3)を求めてください。
小さな問いに分けて、1つずつ一緒に進めます。
ステップ 1 / 2
まず x について積分します。∫01(4x+y)dx を y の式で答えてください(y は定数として扱います)。
自分でやる
練習問題
数字は毎回変わります。2〜3問続けて解けたら、次の単元や元のレッスンに進みましょう。