考え方
表の形に数を並べた行列の和・スカラー倍・積・転置を計算できるようになります。購入数 × 単価の集計、画像の回転や拡大の組み合わせ、表計算の MMULT 関数と同じ計算です。
- 行列
- 数を長方形に並べたもの。横の並びを行、縦の並びを列といい、m 行 n 列なら m×n 行列。
- (i,j) 成分
- i 行目・j 列目にある数。
- 転置 AT
- 行と列を入れかえた行列。
和とスカラー倍は、同じ位置の成分どうしで計算します。和は同じ大きさの行列どうしでしか計算できません。
積 AB の (i,j) 成分は、A の i 行目と B の j 列目を「順にかけて足す」(内積)ことで求めます。顧客ごとの購入数(行)と商品ごとの単価(列)をかけて足すと支払額になる、という計算と同じです。
積が計算できるのは、左の行列の列の数と右の行列の行の数が等しいときだけです。m×n 行列と n×p 行列の積は m×p 行列になります。
行列の積は、順番を入れかえると一般に結果が変わります(AB=BA)。AB は「B の変換をしてから A の変換をする」ことを表し、回転してから拡大するのと、拡大してから回転するのとが違うのと同じです。同じ位置の成分どうしをかけるだけでは、積になりません。
AB の (1,1) 成分は、A の1行目と B の1列目を順にかけて足した 2⋅1+(−1)⋅(−2)=4 です。ポイント
(acbd)(egfh)=(ae+bgce+dgaf+bhcf+dh)
大きさ: m×n 行列 × n×p 行列 = m×p 行列
一般に AB=BA。転置: (AB)T=BTAT
解き方の手順
- 大きさを確かめる(左の列の数 = 右の行の数か)。答えは(左の行の数)×(右の列の数)の行列になる。
- (1,1) 成分: A の1行目と B の1列目を順にかけて足す。
- ほかの成分も、行と列の組ごとに同じように計算する(負の数はかっこをつけてかける)。
- 行列の形にまとめる。順番を入れかえた BA と取り違えない。
例
A=(23−14)、B=(1−250) のとき、積 AB を求めてください。
- (1,1) 成分: 2⋅1+(−1)⋅(−2)=4、(1,2) 成分: 2⋅5+(−1)⋅0=10
- (2,1) 成分: 3⋅1+4⋅(−2)=−5、(2,2) 成分: 3⋅5+4⋅0=15
- AB=(4−51015)
- 参考: BA=(17−4192) で、AB とは違います。
よくある間違い
練習問題でこの間違い方をしたときは、その場でお伝えします。
- 行列の積を交換できると思うAB = BA として計算を進めてしまう。行列の積は、一般に順番を入れかえると結果が変わります。
- 行列の積を成分ごとの積にする行列の積を、同じ位置の成分どうしの積で計算してしまう。行列の積の (i, j) 成分は、左の行列の i 行目と右の行列の j 列目の内積です。
画像の加工では、点の座標を行列でまとめて変換します(回転・拡大・ゆがみなど)。変換 B をしてから変換 A をする合成変換は、行列の積 AB で表されます。
問いA=(−1−1−2−1)、B=(−4−4−43) のとき、積 AB を求めてください。
途中の式
- AB の (i,j) 成分は、A の i 行目と B の j 列目の内積(順にかけて足したもの)です。
- (1,1) 成分: (−1)⋅(−4)+(−2)⋅(−4)=12、(1,2) 成分: (−1)⋅(−4)+(−2)⋅3=−2
- (2,1) 成分: (−1)⋅(−4)+(−1)⋅(−4)=8、(2,2) 成分: (−1)⋅(−4)+(−1)⋅3=1
- AB=(128−21)
- 参考: 順番を入れかえた BA=(81125) は AB と異なります。行列の積は順番で結果が変わります。
答え積 AB(例: [[1,2],[3,4]] または 1 2; 3 4)は (128−21)
一緒にやる
小さく分けて、一緒に解く
1つずつ答えを確かめながら進みます。間違えても大丈夫です。
画像の加工では、点の座標を行列でまとめて変換します(回転・拡大・ゆがみなど)。変換 B をしてから変換 A をする合成変換は、行列の積 AB で表されます。
A=(3−1−43)、B=(4−31−1) のとき、積 AB を求めてください。
小さな問いに分けて、1つずつ一緒に進めます。
ステップ 1 / 3
AB の (1, 1) 成分は?(A の1行目と B の1列目の内積)
自分でやる
練習問題
数字は毎回変わります。2〜3問続けて解けたら、次の単元や元のレッスンに進みましょう。