考え方
行列の変換で向きが変わらない特別な方向(固有ベクトル)と、その方向の伸び縮みの倍率(固有値)を求め、行列を対角化できるようになります。主成分分析、レコメンド、振動の解析、長期の推移の予測などの土台です。
- 固有ベクトル
- Av=λv(v=0)となるベクトル。変換しても同じ直線の上にある方向。
- 固有方程式
- det(A−λE)=0。固有値はこの方程式の解。
- 対角化
- 固有ベクトルを並べた行列 P で、P−1AP を対角行列(対角成分以外が 0)にすること。
行列 A でベクトルを変換すると、ふつうは向きも長さも変わります。ところが特別な方向のベクトルは、向き(直線)が変わらず、長さだけが λ 倍になります。この方向が固有ベクトル、倍率が固有値です。
Av=λv は (A−λE)v=0 と書けます。0 でない解 v があるのは、A−λE が平面をつぶすとき、つまり det(A−λE)=0 のときです。2×2 なら λ の2次方程式になります。
det(A−λE) は、対角成分の両方から λ を引いた行列の行列式 (a−λ)(d−λ)−bc です。展開すると λ2−(a+d)λ+(ad−bc) になり、固有値の和は a+d、積は detA になります(検算に便利です)。
固有値が求まったら、(A−λE)v=0 を解いて固有ベクトルを求めます。固有ベクトルを列に並べた P を使うと P−1AP が固有値を対角に並べた行列になり、An の計算などが簡単になります。
A=(2112) で変換すると、v=(1,1) は同じ直線(点線)上の (3,3) に移り、長さだけが 3 倍になります(固有値 3)。u=(1,0) は (2,1) に移り、向きが変わります。ポイント
Av=λv(v=0)
固有方程式: det(A−λE)=(a−λ)(d−λ)−bc=λ2−(a+d)λ+(ad−bc)=0
対角化: P−1AP=(λ100λ2)(P は固有ベクトルを列に並べた行列)
解き方の手順
- 対角成分の両方から λ を引いた行列の行列式 (a−λ)(d−λ)−bc を作る。
- 展開して λ2−(a+d)λ+(ad−bc)=0 の形にし、因数分解して固有値を求める(λ=1,6 のように答える)。
- 固有値の和が a+d、積が ad−bc になっているか確かめる。
- 固有ベクトルは、(A−λE)v=0 の1行目から v=(1,t) の形で求める。
例
A=(5222) の固有値と、大きいほうの固有値の固有ベクトルを求めてください。
- det(A−λE)=(5−λ)(2−λ)−2⋅2=λ2−7λ+6
- (λ−1)(λ−6)=0 より λ=1,6(和 7=5+2、積 6=detA で確かめ)
- λ=6 の固有ベクトル: (5−6)v1+2v2=0 より v2=21v1。v=(1,21) の定数倍
- 確かめ: A(21)=(126)=6(21)
よくある間違い
練習問題でこの間違い方をしたときは、その場でお伝えします。
- 固有方程式の立て方の誤りdet(A − λI) の対角成分から λ を引き忘れる、符号を間違える。固有方程式は det(A − λI) = 0 です。対角成分すべてから λ を引きましょう。
主成分分析やレコメンドでは、行列の固有値・固有ベクトルを使って、データのいちばん大きな傾向(よく広がっている方向)を取り出します。
問いA=(1−326) の固有値をすべて求めてください。
途中の式
- 固有値は固有方程式 det(A−λE)=0 の解です(対角成分の両方から λ を引く)。
- det(A−λE)=1−λ−326−λ=(1−λ)(6−λ)−2⋅(−3)
- =λ2−7λ+12=(λ−4)(λ−3)
- よって λ=4,3
- λ=4 の固有ベクトル: (A−4E)v=0 の1行目 −3v1+2v2=0 より v=(1,23) の定数倍
答え固有値(例: λ = 2, 5)は λ=4,3
一緒にやる
小さく分けて、一緒に解く
1つずつ答えを確かめながら進みます。間違えても大丈夫です。
主成分分析やレコメンドでは、行列の固有値・固有ベクトルを使って、データのいちばん大きな傾向(よく広がっている方向)を取り出します。
A=(542−2) の固有値をすべて求めてください。
小さな問いに分けて、1つずつ一緒に進めます。
ステップ 1 / 3
固有方程式 det(A−λE)=0 の左辺を展開した、λ の2次式は?
自分でやる
練習問題
数字は毎回変わります。2〜3問続けて解けたら、次の単元や元のレッスンに進みましょう。