大学・線形代数・ベクトル・行列

線形写像と表現行列の練習問題

線形写像を行列で表し、核と像・次元定理が分かる。

考え方

足し算と定数倍を保つ変換(線形写像)を行列で表し、変換を続けたときの行列や、変換でつぶれる方向(核)の次元を求められるようになります。画像処理の変換の合成や、配合・生産計画の自由度の分析に使います。

線形写像
f(x+y)=f(x)+f(y)f(\boldsymbol{x} + \boldsymbol{y}) = f(\boldsymbol{x}) + f(\boldsymbol{y}) と f(kx)=kf(x)f(k\boldsymbol{x}) = kf(\boldsymbol{x}) を満たす写像。
表現行列
線形写像を f(x)=Axf(\boldsymbol{x}) = A\boldsymbol{x} と表したときの行列 AA。
核 ker⁡A\ker A
Ax=0A\boldsymbol{x} = \boldsymbol{0} となる x\boldsymbol{x} 全体。変換で 0\boldsymbol{0} につぶれる方向。
階数 rank⁡A\operatorname{rank} A
像(AxA\boldsymbol{x} として現れるベクトル全体)の次元。

線形写像は、足し算と定数倍の関係を崩さない変換です。だから基本のベクトル e1=(1,0)\boldsymbol{e}_1 = (1, 0), e2=(0,1)\boldsymbol{e}_2 = (0, 1) の行き先さえ分かれば、(x,y)=xe1+ye2(x, y) = x\boldsymbol{e}_1 + y\boldsymbol{e}_2 の行き先はすべて決まります。

表現行列は、e1\boldsymbol{e}_1 の行き先を1列目、e2\boldsymbol{e}_2 の行き先を2列目に並べた行列です。S(x,y)=(2x+y, x−3y)S(x, y) = (2x + y,\ x - 3y) のように式で与えられたら、各成分の係数を行ごとに並べて (211−3)\begin{pmatrix} 2 & 1 \\ 1 & -3 \end{pmatrix} とします。

TT をしてから SS をする合成 S∘TS \circ T は、S(T(x))=[S]([T]x)S(T(\boldsymbol{x})) = [S]([T]\boldsymbol{x}) なので、表現行列は [S][T][S][T](あとの変換が左)です。

m×nm \times n 行列 AA は、Rn\mathbb{R}^n から Rm\mathbb{R}^m への写像です。核の次元と階数の和は、もとの空間の次元(列の数 nn)に等しくなります(次元定理)。行の数から引かないように注意します。

基本ベクトル e₁ = (1, 0)、e₂ = (0, 1) と、変換 T で移った T(e₁) = (2, 1)、T(e₂) = (−1, 1)。正方形が平行四辺形に移る-11212Oxye₁e₂T(e₁)T(e₂)
線形変換 TT で e1\boldsymbol{e}_1 は (2,1)(2, 1) に、e2\boldsymbol{e}_2 は (−1,1)(-1, 1) に移ります。表現行列はこの2つを列に並べた (2−111)\begin{pmatrix} 2 & -1 \\ 1 & 1 \end{pmatrix} で、正方形は平行四辺形に移ります。

ポイント

表現行列 =(f(e1)f(e2)⋯)= \begin{pmatrix} f(\boldsymbol{e}_1) & f(\boldsymbol{e}_2) & \cdots \end{pmatrix}(行き先を列に並べる)

合成: [S∘T]=[S][T][S \circ T] = [S][T]

次元定理: dim⁡ker⁡A+rank⁡A=n\dim\ker A + \operatorname{rank} A = n(AA は m×nm \times n 行列、nn は列の数)

解き方の手順

  1. 行き先が分かっているときは、e1\boldsymbol{e}_1, e2\boldsymbol{e}_2 の行き先を列に並べて表現行列を作る。式で与えられたときは係数を行ごとに並べる。
  2. 合成 S∘TS \circ T なら、あとからかける SS の行列を左にして [S][T][S][T] を計算する。
  3. 核の次元を聞かれたら、行基本変形で階段の形にして、0 でない行の数(階数)を数える。
  4. 次元定理で、dim⁡ker⁡A\dim\ker A =(列の数)− rank⁡A\operatorname{rank} A を求める。

例

TT は (1,0)(1, 0) を (1,2)(1, 2) に、(0,1)(0, 1) を (0,1)(0, 1) に移す線形変換、S(x,y)=(x+y, 3x)S(x, y) = (x + y,\ 3x) です。S∘TS \circ T の表現行列を求めてください。

  1. [T]=(1021)[T] = \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 2 & 1 \end{pmatrix}(行き先を列に並べる)
  2. [S]=(1130)[S] = \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 3 & 0 \end{pmatrix}(係数を行ごとに並べる)
  3. [S][T]=(1⋅1+1⋅21⋅0+1⋅13⋅1+0⋅23⋅0+0⋅1)=(3130)[S][T] = \begin{pmatrix} 1 \cdot 1 + 1 \cdot 2 & 1 \cdot 0 + 1 \cdot 1 \\ 3 \cdot 1 + 0 \cdot 2 & 3 \cdot 0 + 0 \cdot 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 3 & 1 \\ 3 & 0 \end{pmatrix}
  4. 確かめ: S(T(x,y))=S(x, 2x+y)=(3x+y, 3x)S(T(x, y)) = S(x,\ 2x + y) = (3x + y,\ 3x) で一致します。

よくある間違い

練習問題でこの間違い方をしたときは、その場でお伝えします。

  • 次元定理で行の数から引くdim ker A を「行の数 − rank A」とするなど、次元定理で引くもとの次元を取り違える(正しくは定義域の次元=列の数)。次元定理は dim ker A + rank A = 定義域の次元 です。A が m×n 行列なら、定義域の次元は列の数 n です。

見る

計算例

4種類の原料の配合量の変化 x∈R4\boldsymbol{x} \in \mathbb{R}^4 から、3つの成分(たんぱく質・脂質・糖質)の量の変化を AxA\boldsymbol{x} で計算します(AA は 3×4 行列)。成分を変えずに配合だけを変える方法は、核 ker⁡A={x∣Ax=0}\ker A = \{\boldsymbol{x} \mid A\boldsymbol{x} = \boldsymbol{0}\} の要素です。

問いA=(−203−1000−1−406−4)A = \begin{pmatrix}-2 & 0 & 3 & -1 \\ 0 & 0 & 0 & -1 \\ -4 & 0 & 6 & -4\end{pmatrix} のとき、ker⁡A\ker A の次元を求めてください。

途中の式

  1. 行基本変形(行の入れかえ・0 でない数で割る・ある行の定数倍を他の行に足す)で、簡約階段行列にします。
  2. A→(10−32000010000)A \to \begin{pmatrix}1 & 0 & -\frac{3}{2} & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 & 0\end{pmatrix}
  3. 0 でない行は 2 行なので rank⁡A=2\operatorname{rank} A = 2
  4. 次元定理 dim⁡ker⁡A+rank⁡A=4\dim \ker A + \operatorname{rank} A = 4(定義域 R4\mathbb{R}^4 の次元 = 列の数)より、dim⁡ker⁡A=4−2=2\dim \ker A = 4 - 2 = 2
  5. 成分を変えない配合の変え方には、2 方向分の自由度があります。

答えdim ker Aは 22

一緒にやる

小さく分けて、一緒に解く

1つずつ答えを確かめながら進みます。間違えても大丈夫です。

4種類の原料の配合量の変化 x∈R4\boldsymbol{x} \in \mathbb{R}^4 から、3つの成分(たんぱく質・脂質・糖質)の量の変化を AxA\boldsymbol{x} で計算します(AA は 3×4 行列)。成分を変えずに配合だけを変える方法は、核 ker⁡A={x∣Ax=0}\ker A = \{\boldsymbol{x} \mid A\boldsymbol{x} = \boldsymbol{0}\} の要素です。

A=(1−21−12−103−45−2−1)A = \begin{pmatrix}1 & -2 & 1 & -1 \\ 2 & -1 & 0 & 3 \\ -4 & 5 & -2 & -1\end{pmatrix} のとき、ker⁡A\ker A の次元を求めてください。

小さな問いに分けて、1つずつ一緒に進めます。

ステップ 1 / 3

行基本変形で階段行列にしたとき、0 でない行は何行ありますか?(これが階数 rank⁡A\operatorname{rank} A)

自分でやる

練習問題

数字は毎回変わります。2〜3問続けて解けたら、次の単元や元のレッスンに進みましょう。

問題を準備しています…

学び直しマップ

前後の単元

分からないところがあったら前提まで戻り、分かったら使う先へ進みましょう。

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