考え方
ax2+2hxy+cy2 のような二次形式を、座標軸を回して xy の項のない標準形にし、等高線が楕円か双曲線か、最小値をもつかを判定できるようになります。最適化、統計の分散共分散、損失関数の形の分析で使います。
- 対称行列
- 転置しても変わらない行列(AT=A)。
- 二次形式
- Q(x,y)=ax2+2hxy+cy2 の形の式。対称行列 A で xTAx と書ける。
- 直交行列
- 列ベクトルが互いに直交し、長さ 1 の行列。回転(や折り返し)を表し、P−1=PT。
- 正定値
- 原点以外でつねに Q>0 になること。固有値がすべて正。
二次形式は、対称行列を使って xTAx と書けます。対角に x2, y2 の係数を置き、xy の係数は半分ずつ2つの非対角成分に分けます。たとえば 5x2+4xy+2y2 なら A=(5222) です。
対称行列の固有ベクトルは互いに直交するので、その方向を新しい座標軸 X, Y にとる(直交行列で回転する)ことができます。すると xy の項が消えて、Q=λ1X2+λ2Y2(標準形)になります。係数は A の固有値です。
固有値がどちらも正なら正定値で、等高線 Q=k は楕円になり、原点で最小です。どちらも負なら負定値、符号が違えば不定値で、等高線は双曲線(鞍点の形)になります。
x2 と y2 の係数がどちらも正でも、xy の項が大きいと不定値になることがあります。対角成分だけで判断せず、固有値の符号で判定しましょう。
Q=5x2+4xy+2y2 の等高線は、斜めに傾いた楕円です。固有ベクトルの方向(点線)を新しい軸 X, Y にとると Q=6X2+Y2 となり、xy の項が消えます。ポイント
ax2+2hxy+cy2=(xy)(ahhc)(xy)
直交行列 P で PTAP=(λ100λ2)、標準形 Q=λ1X2+λ2Y2
固有値がすべて正 → 正定値(楕円・最小)、すべて負 → 負定値、正と負 → 不定値(双曲線)
解き方の手順
- Q を対称行列 A で表す(xy の係数は半分ずつ非対角に置く)。
- 固有方程式 (a−λ)(c−λ)−h2=0 を解いて、固有値 λ1, λ2 を求める。
- 標準形 λ1X2+λ2Y2 の係数は固有値。λ=−1,7 のように答える。
- 固有値の符号で、正定値・負定値・不定値を判定する。
例
二次形式 Q(x,y)=3x2+8xy+3y2 の標準形を求め、正定値・負定値・不定値のどれかを答えてください。
- xy の係数 8 を半分ずつ置いて A=(3443)
- 固有方程式: (3−λ)2−42=λ2−6λ−7=(λ−7)(λ+1)=0 より λ=7,−1
- 標準形は 7X2−Y2
- 固有値の符号が違うので不定値(等高線は双曲線)。x2, y2 の係数はどちらも正ですが、xy の項が大きいためです。
よくある間違い
練習問題でこの間違い方をしたときは、その場でお伝えします。
- 対角成分だけで定値性を判定するヘッセ行列や二次形式の定値性・標準形を、対角成分(f_xx・f_yy、x²・y² の係数)だけで判断し、非対角成分(xy の項)の影響を無視する。xy の項(非対角成分)も形を変えます。定値性は、固有値の符号や行列式(f_xx f_yy − f_xy²)の符号まで調べて判断しましょう。
最適化や統計では、Q(x,y)=ax2+2hxy+cy2 のような二次形式の形を調べます。座標軸を回転させて xy の項を消した標準形 λ1X2+λ2Y2 にすると、等高線が楕円か双曲線か、最小値をもつかがすぐに分かります。
問い二次形式 Q(x,y)=7x2−8xy+7y2 を直交変換で標準形 λ1X2+λ2Y2 にするとき、係数 λ1,λ2 をすべて求めてください。
途中の式
- Q=xTAx となる対称行列は A=(7−4−47)(xy の係数 −8 を半分ずつ非対角に置く)
- 固有方程式: (7−λ)(7−λ)−(−4)2=λ2−14λ+33=0
- (λ−11)(λ−3)=0 より λ=11,3
- 固有ベクトルを並べた直交行列で座標を回転すると、Q=11X2+3Y2(標準形)になります。
- 固有値がどちらも正なので正定値です(等高線 Q=k>0 は楕円)。
答えλ₁, λ₂(例: λ = -1/2, 3/2)は λ=11,3
一緒にやる
小さく分けて、一緒に解く
1つずつ答えを確かめながら進みます。間違えても大丈夫です。
最適化や統計では、Q(x,y)=ax2+2hxy+cy2 のような二次形式の形を調べます。座標軸を回転させて xy の項を消した標準形 λ1X2+λ2Y2 にすると、等高線が楕円か双曲線か、最小値をもつかがすぐに分かります。
二次形式 Q(x,y)=5x2+6xy+5y2 を直交変換で標準形 λ1X2+λ2Y2 にするとき、係数 λ1,λ2 をすべて求めてください。
小さな問いに分けて、1つずつ一緒に進めます。
ステップ 1 / 3
Q(x,y)=xTAx となる対称行列 A は?
自分でやる
練習問題
数字は毎回変わります。2〜3問続けて解けたら、次の単元や元のレッスンに進みましょう。