考え方
行列の変換を元に戻す逆行列を求め、連立方程式を x=A−1b の形で解けるようになります。画像の変換の取り消しや、回帰分析の計算((XTX)−1)に出てきます。
- 単位行列 E
- 対角成分が 1、ほかが 0 の行列。かけても相手を変えない(数の 1 にあたる)。
- 逆行列 A−1
- AA−1=A−1A=E となる行列。あるとき、A は正則(可逆)という。
数 3 に対する 31 のように、行列 A の「割り算」にあたるのが逆行列 A−1 です。A の変換をしたあとで A−1 をかけると、元に戻ります。
2×2 行列なら公式があります。a と d を入れかえ、b と c の符号を変えた行列を作り、全体を detA=ad−bc で割ります。成分ごとに逆数をとるのではありません。
detA=0 のときは逆行列がありません。変換で平面が直線や点につぶれてしまい、元に戻せないからです。大きな行列では、(A∣E) を掃き出して (E∣A−1) にする方法で求めます。
2つの変換を続けた AB を戻すには、最後にかけた A から先に戻すので (AB)−1=B−1A−1 です。靴下をはいてから靴をはいたら、脱ぐときは靴が先、と同じ順番です。
ポイント
A=(acbd) のとき A−1=ad−bc1(d−c−ba)(ad−bc=0)
(AB)−1=B−1A−1
Ax=b の解は x=A−1b
解き方の手順
- detA=ad−bc を計算する(0 なら逆行列はない)。
- a と d を入れかえ、b と c の符号を変えた行列を作る。
- 各成分を detA で割る(分数は約分する)。
- AA−1 を計算して単位行列 E になるか確かめる。積の逆行列なら、順番を逆にして B−1A−1 を計算する。
例
A=(2133) の逆行列を求めてください。
- detA=2⋅3−3⋅1=3
- a と d を入れかえ、b と c の符号を変える: (3−1−32)
- A−1=31(3−1−32)=(1−31−132)
- 確かめ: AA−1=(2−11−1−2+2−1+2)=(1001)
よくある間違い
練習問題でこの間違い方をしたときは、その場でお伝えします。
- 積の逆行列の順序(AB)⁻¹ = A⁻¹B⁻¹ としてしまう。(AB)⁻¹ = B⁻¹A⁻¹ です。靴下と靴を脱ぐ順番のように、逆順になります。
- 逆行列で 1/det を掛け忘れる2×2 の逆行列で、成分を入れかえた行列を行列式で割り忘れる。逆行列の公式は、成分を入れかえた行列に 1/(ad − bc) を掛けます。AA⁻¹ が単位行列になるか確かめましょう。
- 成分ごとの逆数を逆行列とする逆行列を、各成分の逆数を並べた行列だと考える。逆行列は成分ごとの逆数ではありません。AA⁻¹ が単位行列になる行列を、公式で求めましょう。
画像に変換 A をかけたあとで、元の画像に戻したいことがあります。元に戻す変換は、逆行列 A−1(AA−1=E となる行列)で表されます。
問いA=(2−22−1) の逆行列 A−1 を求めてください。
途中の式
- 2×2 の逆行列の公式: A−1=ad−bc1(d−c−ba)(ad−bc=0 のとき)
- detA=2⋅(−1)−2⋅(−2)=2
- A−1=21(−12−22)=(−211−11)
- 確かめ: AA−1 を計算すると単位行列 E=(1001) になります。
答え逆行列 A⁻¹(例: [[2,-1],[-5,3]]、分数は 1/2 のように)は (−211−11)
一緒にやる
小さく分けて、一緒に解く
1つずつ答えを確かめながら進みます。間違えても大丈夫です。
画像に変換 A をかけたあとで、元の画像に戻したいことがあります。元に戻す変換は、逆行列 A−1(AA−1=E となる行列)で表されます。
A=(5−3−11) の逆行列 A−1 を求めてください。
小さな問いに分けて、1つずつ一緒に進めます。
ステップ 1 / 3
detA=ad−bc は?
自分でやる
練習問題
数字は毎回変わります。2〜3問続けて解けたら、次の単元や元のレッスンに進みましょう。