大学・線形代数・ベクトル・行列

逆行列の練習問題

掃き出し法や公式で逆行列を求め、連立方程式に使える。

考え方

行列の変換を元に戻す逆行列を求め、連立方程式を x=A−1b\boldsymbol{x} = A^{-1}\boldsymbol{b} の形で解けるようになります。画像の変換の取り消しや、回帰分析の計算((XTX)−1(X^{\mathsf{T}}X)^{-1})に出てきます。

単位行列 EE
対角成分が 1、ほかが 0 の行列。かけても相手を変えない(数の 1 にあたる)。
逆行列 A−1A^{-1}
AA−1=A−1A=EAA^{-1} = A^{-1}A = E となる行列。あるとき、AA は正則(可逆)という。

数 3 に対する 13\dfrac{1}{3} のように、行列 AA の「割り算」にあたるのが逆行列 A−1A^{-1} です。AA の変換をしたあとで A−1A^{-1} をかけると、元に戻ります。

2×2 行列なら公式があります。aa と dd を入れかえ、bb と cc の符号を変えた行列を作り、全体を det⁡A=ad−bc\det A = ad - bc で割ります。成分ごとに逆数をとるのではありません。

det⁡A=0\det A = 0 のときは逆行列がありません。変換で平面が直線や点につぶれてしまい、元に戻せないからです。大きな行列では、(A∣E)(A \mid E) を掃き出して (E∣A−1)(E \mid A^{-1}) にする方法で求めます。

2つの変換を続けた ABAB を戻すには、最後にかけた AA から先に戻すので (AB)−1=B−1A−1(AB)^{-1} = B^{-1}A^{-1} です。靴下をはいてから靴をはいたら、脱ぐときは靴が先、と同じ順番です。

ポイント

A=(abcd)A = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} のとき A−1=1ad−bc(d−b−ca)A^{-1} = \dfrac{1}{ad - bc}\begin{pmatrix} d & -b \\ -c & a \end{pmatrix}(ad−bc≠0ad - bc \neq 0)

(AB)−1=B−1A−1(AB)^{-1} = B^{-1}A^{-1}

Ax=bA\boldsymbol{x} = \boldsymbol{b} の解は x=A−1b\boldsymbol{x} = A^{-1}\boldsymbol{b}

解き方の手順

  1. det⁡A=ad−bc\det A = ad - bc を計算する(0 なら逆行列はない)。
  2. aa と dd を入れかえ、bb と cc の符号を変えた行列を作る。
  3. 各成分を det⁡A\det A で割る(分数は約分する)。
  4. AA−1AA^{-1} を計算して単位行列 EE になるか確かめる。積の逆行列なら、順番を逆にして B−1A−1B^{-1}A^{-1} を計算する。

例

A=(2313)A = \begin{pmatrix} 2 & 3 \\ 1 & 3 \end{pmatrix} の逆行列を求めてください。

  1. det⁡A=2⋅3−3⋅1=3\det A = 2 \cdot 3 - 3 \cdot 1 = 3
  2. aa と dd を入れかえ、bb と cc の符号を変える: (3−3−12)\begin{pmatrix} 3 & -3 \\ -1 & 2 \end{pmatrix}
  3. A−1=13(3−3−12)=(1−1−1323)A^{-1} = \dfrac{1}{3}\begin{pmatrix} 3 & -3 \\ -1 & 2 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & -1 \\ -\frac{1}{3} & \frac{2}{3} \end{pmatrix}
  4. 確かめ: AA−1=(2−1−2+21−1−1+2)=(1001)AA^{-1} = \begin{pmatrix} 2 - 1 & -2 + 2 \\ 1 - 1 & -1 + 2 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}

よくある間違い

練習問題でこの間違い方をしたときは、その場でお伝えします。

  • 積の逆行列の順序(AB)⁻¹ = A⁻¹B⁻¹ としてしまう。(AB)⁻¹ = B⁻¹A⁻¹ です。靴下と靴を脱ぐ順番のように、逆順になります。
  • 逆行列で 1/det を掛け忘れる2×2 の逆行列で、成分を入れかえた行列を行列式で割り忘れる。逆行列の公式は、成分を入れかえた行列に 1/(ad − bc) を掛けます。AA⁻¹ が単位行列になるか確かめましょう。
  • 成分ごとの逆数を逆行列とする逆行列を、各成分の逆数を並べた行列だと考える。逆行列は成分ごとの逆数ではありません。AA⁻¹ が単位行列になる行列を、公式で求めましょう。

見る

計算例

画像に変換 AA をかけたあとで、元の画像に戻したいことがあります。元に戻す変換は、逆行列 A−1A^{-1}(AA−1=EAA^{-1} = E となる行列)で表されます。

問いA=(22−2−1)A = \begin{pmatrix}2 & 2 \\ -2 & -1\end{pmatrix} の逆行列 A−1A^{-1} を求めてください。

途中の式

  1. 2×2 の逆行列の公式: A−1=1ad−bc(d−b−ca)A^{-1} = \dfrac{1}{ad - bc}\begin{pmatrix} d & -b \\ -c & a \end{pmatrix}(ad−bc≠0ad - bc \neq 0 のとき)
  2. det⁡A=2⋅(−1)−2⋅(−2)=2\det A = 2\cdot (-1) - 2\cdot (-2) = 2
  3. A−1=12(−1−222)=(−12−111)A^{-1} = \dfrac{1}{2}\begin{pmatrix}-1 & -2 \\ 2 & 2\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}-\frac{1}{2} & -1 \\ 1 & 1\end{pmatrix}
  4. 確かめ: AA−1AA^{-1} を計算すると単位行列 E=(1001)E = \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} になります。

答え逆行列 A⁻¹(例: [[2,-1],[-5,3]]、分数は 1/2 のように)は (−12−111)\begin{pmatrix} -\frac{1}{2} & -1 \\ 1 & 1 \end{pmatrix}

一緒にやる

小さく分けて、一緒に解く

1つずつ答えを確かめながら進みます。間違えても大丈夫です。

画像に変換 AA をかけたあとで、元の画像に戻したいことがあります。元に戻す変換は、逆行列 A−1A^{-1}(AA−1=EAA^{-1} = E となる行列)で表されます。

A=(5−1−31)A = \begin{pmatrix}5 & -1 \\ -3 & 1\end{pmatrix} の逆行列 A−1A^{-1} を求めてください。

小さな問いに分けて、1つずつ一緒に進めます。

ステップ 1 / 3

det⁡A=ad−bc\det A = ad - bc は?

自分でやる

練習問題

数字は毎回変わります。2〜3問続けて解けたら、次の単元や元のレッスンに進みましょう。

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前後の単元

分からないところがあったら前提まで戻り、分かったら使う先へ進みましょう。

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