実務ではこんな場面で
月次の売上レポートに「4月売上 2,400,000円(前年比120%)」と書いてあります。会議で「去年より何%伸びたの?」と聞かれました。
ここで「120%伸びました」と答えると、数字が大きくずれます。前年比120%は、前年を100%としたとき今年が120%の大きさ、という意味です。伸びたのは20%です。
小売や飲食では、同じ意味で「昨対比(昨年対比)」という言葉もよく使われます。このレッスンでは、前年比と増減率の違いを整理し、どちらも計算できるようにします。
考え方
前年比の計算方法
前年比 = 今年 ÷ 前年
「前年に比べて」なので、もとにする量(100%)は前年です。割合とは何かの「割合 = 部分 ÷ 全体」で、全体の位置に前年が入ります。
昨年4月が2,000,000円、今年4月が2,400,000円なら、2,400,000 ÷ 2,000,000 = 1.2 = 120%。今年の方が大きいので、1を超える小数になります。120%は「前年の1.2倍」ということです。
前年比と増減率の違い
増減率 = (今年 − 前年) ÷ 前年
増えた額は 2,400,000 − 2,000,000 = 400,000円。これを前年で割ると、400,000 ÷ 2,000,000 = 0.2 = 20%です。
前年比からも出せます。増減率 = 前年比 − 100%。120% − 100% = 20%増です。前年比が95%なら、95% − 100% = −5%、つまり5%減です。
なぜ前年で割るのでしょう。知りたいのは「前年から見て、どれだけ動いたか」だからです。今年で割ると、ものさしが変わってしまいます。目標を100%とする比べ方は達成率で扱います。
前年比をエクセル(Excel)で出す
前年の売上がA2、今年の売上がB2にあるなら、前年比は =B2/A2、増減率は =(B2-A2)/A2 または =B2/A2-1 です。セルの表示形式を「パーセント」にすると、1.2は120%、0.2は20%と表示されます。
見る
計算例
ある店舗の4月の売上は、昨年が2,000,000円、今年が2,400,000円でした。
- 昨年4月
- 2,000,000円
- 今年4月
- 2,400,000円
問い今年4月の売上の前年比は何%ですか?
途中の式
- 前年比 = 今年 ÷ 前年
- 2,400,000 ÷ 2,000,000 = 1.2 = 120%
答え前年比は 120%
図で確かめる
| 項目 | 売上(円) | 前の行からの増減率 |
|---|---|---|
| 昨年4月 | — | |
| 今年4月 | +20.0% | |
| 平均 | 2,200,000円 |
表に出る増減率は20%、前年比でいえば120%です。今年4月の値を1,900,000円などに変えて、増減率がマイナスになるのを確かめてみましょう。
よくある間違い
前年比120%を「120%増えた」と言う
- ❌ 前年比120% → 「120%増えた」
- ⭕ 前年比120% → 120% − 100% = 「20%増えた」
120%増なら、前年の2.2倍です。「前年の何%か(比)」と「前年から何%増えたか(増減率)」は、100%分ずれます。
今年を基準に割ってしまう
- ❌ 2,000,000 ÷ 2,400,000 = 0.833… → 約83%
- ⭕ 2,400,000 ÷ 2,000,000 = 1.2 → 120%
「前年に比べて」なら、割る数は前年です。売上が増えたのに100%を下回ったら、割る順番を見直す合図です。
増えた額を今年で割る
- ❌ 400,000 ÷ 2,400,000 = 0.166… → 約17%
- ⭕ 400,000 ÷ 2,000,000 = 0.2 → 20%
増減率でも、もとにする量は前年です。
紙に書いてみよう
紙に2本の棒を上下に並べて書きます。上を「前年 = 100%」とし、下は上より少し長く描いて「今年」とします。
下の棒の、上からはみ出した部分に「増えた分」と書きます。棒全体の横に「前年比」、はみ出した部分の横に「増減率」と書き分けてみてください。
次に、自分の担当する数字(売上や問い合わせ件数など)を2か月分選び、「今年 ÷ 前年」と「(今年 − 前年) ÷ 前年」を式だけ書き出してみましょう。