実務ではこんな場面で
営業会議で「この商品は粗利率30%だから、売上10,000円なら粗利は3,000円だね」という会話が出てきます。見積を作るとき、仕入れ先と交渉するとき、月次のPL(損益計算書)を読むとき。粗利率は、仕事の多くの場面で使われる数字です。
一方で、「粗利」と「粗利率」の違いや、「粗利を増やすには売上がいくら必要か」の計算は、あらためて聞きにくいものです。
このレッスンでは、粗利・粗利率・必要な売上の3つの計算を、簡単なPLの例で確かめます。
考え方
売上・原価・粗利の関係
粗利(売上から仕入れ値を引いた、ざっくりした儲け)は、次の式で出します。
粗利 = 売上 − 原価
原価は、商品の仕入れ値や材料費のことです。売上10,000円、原価7,000円なら、粗利は3,000円です。
粗利率は「売上のうち、粗利が何%か」
粗利率 = 粗利 ÷ 売上
3,000 ÷ 10,000 = 0.3 なので、粗利率は30%です。もとにする量(全体)は「売上」です。原価ではありません。
粗利率から粗利を求める
粗利 = 売上 × 粗利率
売上10,000円、粗利率30%なら、10,000 × 0.3 = 3,000円。%は小数に直してから掛けます。
なぜ掛け算?
粗利率30%は「売上を1としたとき、粗利は0.3倍」という意味です。「10,000円の0.3倍」を求めたいので、掛け算になります。「売上10,000円のうち30%」と言い換えると、割合とは何かで見た「全体 × 割合 = 部分」そのものです。
必要な売上を逆算する
「粗利を3,000円出したい。粗利率は30%。売上はいくら必要?」という逆向きの問いもよく出ます。わからない売上を □ と置くと、□ × 0.3 = 3,000。□ を求めるので割り算です。
必要な売上 = 目標の粗利 ÷ 粗利率
3,000 ÷ 0.3 = 10,000円です。
見る
計算例
ある商品の売上が10,000円、粗利率は30%です。
- 売上
- 10,000円
- 粗利率
- 30%
問い粗利はいくらですか?
途中の式
- 粗利率は「売上のうち粗利が何%か」
- 30% = 0.3
- 10,000 × 0.3 = 3,000円
- なぜ掛け算? →「10,000円のうち30%」を求めているから
答え粗利は 3,000円
図で確かめる
スライダーで粗利率を動かしてみてください。粗利が増えると原価が減り、2つを足すといつも売上になります。
全体を10等分しています。1ブロックは 1,000円(全体の 10%)です。 ブロックを押すと選べます。
選んだブロック: 0 / 10 = 0% → 0円
10,000 × 0/10 = 0 (全体 × 割合 = 部分)
粗利率30%ぶんのブロックを選んでみましょう。逆に「3ブロックで3,000円なら、全体は10ブロック分」と考えるのが逆算です。
よくある間違い
%の数字をそのまま掛ける
- ❌ 10,000 × 30 = 300,000円
- ⭕ 10,000 × 0.3 = 3,000円
粗利が売上より大きくなることはありません。答えが売上を超えたら、%を小数に直し忘れている合図です。
粗利と原価を取り違える
- ❌ 10,000 − 3,000 = 7,000円を粗利とする
- ⭕ 粗利は10,000 × 0.3 = 3,000円。7,000円は原価
粗利率30%なら、残りの70%は原価です。どちらを聞かれているか、先に確かめましょう。原価の割合は原価率で扱います。
逆算なのに掛けてしまう
- ❌ 目標の粗利3,000円 × 0.3 = 900円
- ⭕ 3,000 ÷ 0.3 = 10,000円
必要な売上は、目標の粗利より必ず大きくなります。□ × 0.3 = 3,000 の □ を求めるので、割り算です。
紙に書いてみよう
紙に横長の帯を書き、10等分してください。帯の上に「売上10,000円」と書き、3マスを塗って「粗利3,000円」、残りの7マスに「原価7,000円」と書きます。
次に、電卓を使わずに式だけ書いてみましょう。「売上20,000円、粗利率25%の粗利は?」「粗利を6,000円出したい。粗利率30%なら売上は?」。掛け算か割り算かを先に決めてから、数字を入れるのがコツです。