考え方
売れる個数や来店回数のように確率的に値が決まる量(確率変数)について、平均(期待値)とばらつき(分散・標準偏差)、2つの量の連動(共分散)を計算できるようになります。在庫の決め方、リスクの評価、ポートフォリオの分析に使います。
- 確率変数 X
- 確率的に値が決まる量。とりうる値と、その確率の表(確率分布)で表す。
- 期待値 E[X]
- 「値 × 確率」の和。長く続けたときの平均。
- 分散 V[X]・標準偏差 σ(X)
- 期待値からのずれの2乗の期待値と、その正の平方根。ばらつきの大きさ。
- 共分散 Cov(X,Y)
- X と Y が一緒に大きくなる傾向。E[XY]−E[X]E[Y]。
1日に売れる数 X が、0個(確率 0.2)、1個(0.5)、2個(0.3)なら、期待値は 0×0.2+1×0.5+2×0.3=1.1 個です。長い期間で平均すると、1日あたり約 1.1 個売れるという意味です。
分散は「期待値からのずれの2乗」の期待値です。計算には V[X]=E[X2]−(E[X])2(2乗の平均 − 平均の2乗)が便利です。標準偏差は分散の正の平方根で、単位が元の量(個)にそろいます。
期待値は足し算と定数倍をそのまま通します(E[aX+b]=aE[X]+b、E[X+Y]=E[X]+E[Y])。一方、分散は V[aX+b]=a2V[X] で、定数 b を足してもばらつきは変わりません。
2つの確率変数の積の期待値 E[XY] は、同時分布の表のマスごとに(x×y× 確率)を足して求めます。E[XY]=E[X]E[Y] が使えるのは、X と Y が独立なとき(共分散が 0 のとき)だけです。
例題の確率分布。棒の高さが確率です。期待値 3 は「つり合いの位置」で、値の出やすさの重心にあたります。ポイント
E[X]=∑xP(X=x)、E[X2]=∑x2P(X=x)
V[X]=E[X2]−(E[X])2、σ(X)=V[X]
E[aX+b]=aE[X]+b、V[aX+b]=a2V[X]
E[XY]=∑xyP(X=x,Y=y)、Cov(X,Y)=E[XY]−E[X]E[Y]
解き方の手順
- 表から、期待値 E[X] を「値 × 確率」の和で求める。
- 同じように E[X2](値の2乗 × 確率 の和)を求める。
- V[X]=E[X2]−(E[X])2 を計算し、正の平方根をとって標準偏差にする。
- 2つの変数の積なら、同時分布の表のマスごとに x×y× 確率 を足す(独立でなければ E[X]E[Y] にはならない)。
例
1日に売れる数 X が、1個(確率 0.2)、2個(0.5)、6個(0.3)のとき、X の標準偏差を求めてください。
- E[X]=1×0.2+2×0.5+6×0.3=0.2+1+1.8=3
- E[X2]=12×0.2+22×0.5+62×0.3=0.2+2+10.8=13
- V[X]=13−32=4
- σ(X)=4=2(個)
よくある間違い
練習問題でこの間違い方をしたときは、その場でお伝えします。
- E[XY] = E[X]E[Y] を常に使う独立でない確率変数にも積の期待値の公式を使ってしまう。E[XY] = E[X]E[Y] は X と Y が独立なとき(無相関なとき)だけ成り立ちます。
- 分散で (E[X])² を引き忘れる分散を E[X²](2乗の平均)のまま答え、平均の2乗を引き忘れる。分散は「2乗の平均 − 平均の2乗」です。E[X²] から (E[X])² を引いたか確かめましょう。
ある店で1日に売れる限定セットの個数 X は、過去の実績から次の確率分布に従うとします。仕入れ数を決めるために、平均とばらつきを調べます。
問いXP15121015107 のとき、X の標準偏差 σ(X) を求めてください。
途中の式
- E[X]=1⋅51+2⋅101+5⋅107=1039
- E[X2]=12⋅51+22⋅101+52⋅107=10181
- V[X]=E[X2]−(E[X])2=10181−(1039)2=100289
- σ(X)=V[X]=100289=1017
答え標準偏差 σ(X)は 1017
一緒にやる
小さく分けて、一緒に解く
1つずつ答えを確かめながら進みます。間違えても大丈夫です。
ある店で1日に売れる限定セットの個数 X は、過去の実績から次の確率分布に従うとします。仕入れ数を決めるために、平均とばらつきを調べます。
XP11032101353 のとき、X の標準偏差 σ(X) を求めてください。
小さな問いに分けて、1つずつ一緒に進めます。
ステップ 1 / 4
期待値 E[X] は?
自分でやる
練習問題
数字は毎回変わります。2〜3問続けて解けたら、次の単元や元のレッスンに進みましょう。