考え方
「すべての〜」「ある〜」を含む主張を正しく否定し、背理法や数学的帰納法で筋道立てて示せるようになります。仕様や契約の条件の読み取り、テストでの反例探しなど、言葉の論理を誤解なく扱う場面で役立ちます。
- ∀(全称記号)
- 「すべての〜について」。∀x P(x) は「どの x でも P(x) が成り立つ」。
- ∃(存在記号)
- 「ある〜について」「〜が少なくとも1つある」。
- 背理法
- 示したいことの否定を仮定して矛盾を導き、もとの主張が正しいと結論する方法。
- 数学的帰納法
- n=1 で成り立つことと、n=k で成り立てば n=k+1 でも成り立つことを示して、すべての自然数で成り立つと結論する方法。
「全店舗が目標を達成した」の否定は、「目標を達成しなかった店舗が少なくとも1つある」です。「全店舗が達成しなかった」ではありません。「すべて」の否定は「〜でないものがある」、「ある」の否定は「すべて〜でない」になります。
記号では、¬ を内側へ移すたびに、通過した ∀ と ∃ が入れかわります。∀x ∃y P(x,y) の否定は ∃x ∀y ¬P(x,y) です。最後に中の条件を否定し、「以上(≥)」の否定は「未満(<)」のように等号の扱いに注意します。
背理法は、示したい命題 P が成り立たない(¬P)と仮定して、矛盾を導く方法です。だから、まず ¬P を正しく書けることが大切です。
数学的帰納法はドミノ倒しです。(I) 1枚目(n=1)が倒れること、(II) k 枚目が倒れれば k+1 枚目も倒れること、の2つを示せば、すべてが倒れます。(II) では「n=k のとき成り立つ」を仮定として使い、n=k+1 の式に代入します。
(I) 最初の1枚が倒れ、(II) どの k でも k 枚目が倒れれば k+1 枚目も倒れるなら、ドミノはすべて倒れます。ポイント
¬(∀x P(x))≡∃x ¬P(x)
¬(∃x P(x))≡∀x ¬P(x)
a≥c の否定は a<c、a>c の否定は a≤c
帰納法: (I) n=1 で成り立つ (II) n=k で成り立つと仮定すると、n=k+1 でも成り立つ
解き方の手順
- 否定: 量化記号を前から順にすべて入れかえる(∀↔∃)。
- かっこの中の条件を否定する(不等号は等号がどちらに入るかに注意)。
- 帰納法の (I): n=1 を代入して、左辺と右辺が等しいことを確かめる。
- 帰納法の (II): S(k+1)=S(k)+ak+1 に仮定 S(k)=F(k) を代入して整理し、F(k+1) と一致することを確かめる。
例
1+3+5+⋯+(2n−1)=n2 を数学的帰納法で示してください。
- (I) n=1 のとき、左辺 =1、右辺 =12=1 で成り立ちます。
- (II) n=k のとき 1+3+⋯+(2k−1)=k2 が成り立つと仮定します。
- n=k+1 の左辺は k2+{2(k+1)−1}=k2+2k+1=(k+1)2 で、右辺と一致します。
- (I)(II) より、すべての自然数 n で成り立ちます。
よくある間違い
練習問題でこの間違い方をしたときは、その場でお伝えします。
- 否定で ∀・∃ を入れかえない∀・∃ を含む命題の否定で、量化記号をそのまま(または一部だけ入れかえて)残し、かっこの中の条件だけを否定する。否定するときは、∀ と ∃ を前から順にすべて入れかえてから、中の条件を否定します。「すべて〜」の否定は「〜でないものがある」です。
チェーン店の売上目標の達成状況を論理式で表します。x は店舗、y は月、S(x,y) は店舗 x の月 y の売上(万円)です。
問い命題 P: ∀x ∃y (S(x,y)≥180)(どの店舗にも、売上が 180 万円以上の月がある)の否定 ¬P はどれですか?
- 1∃x ∃y (S(x,y)<180)
- 2∀x ∃y (S(x,y)<180)
- 3∃x ∀y (S(x,y)<180)正解
- 4∃x ∀y (S(x,y)≤180)
途中の式
- 否定をとるときは、∀ と ∃ をすべて入れかえ、最後にかっこの中の条件を否定します: ¬(∀x Q(x))≡∃x ¬Q(x)、¬(∃x Q(x))≡∀x ¬Q(x)
- ¬P≡∃x ¬(∃y (S(x,y)≥180))≡∃x ∀y ¬(S(x,y)≥180)
- S(x,y)≥180 の否定は S(x,y)<180 です(等号の扱いに注意)。
- よって ¬P は ∃x ∀y (S(x,y)<180)、つまり「ある店舗では、どの月も売上が 180 万円未満だった」です。
答え否定の命題は 3. ∃x ∀y (S(x,y)<180)
一緒にやる
小さく分けて、一緒に解く
1つずつ答えを確かめながら進みます。間違えても大丈夫です。
チェーン店の売上目標の達成状況を論理式で表します。x は店舗、y は月、S(x,y) は店舗 x の月 y の売上(万円)です。
命題 P: ∃x ∀y (S(x,y)≥270)(ある店舗では、すべての月の売上が 270 万円以上)の否定 ¬P はどれですか?
小さな問いに分けて、1つずつ一緒に進めます。
ステップ 1 / 3
まず、かっこの中の条件 S(x,y)≥270 の否定はどれですか?
自分でやる
練習問題
数字は毎回変わります。2〜3問続けて解けたら、次の単元や元のレッスンに進みましょう。